蛍光ナノスコピーのための光子収集強化技術

Enhanced photon collection enables four dimensional fluorescence nanoscopy of living systems

Luciano A. Masullo, Andreas Bodén, Francesca Pennacchietti, Giovanna Coceano, Michael Ratz, Ilaria Testa

 本研究は、生体内の微小構造を詳細に観察するための蛍光ナノスコピー技術の進化に貢献するものである。蛍光ナノスコピーとは、生物学的サンプル内の分子の動きや相互作用をナノスケールで可視化する技術であり、分子の蛍光を光学的に制御することにより、分子が発光する能力を決定的または確率的に制御することができる。しかし、既存の蛍光ナノスコピー技術は、高い光量、低いコントラスト、限られた視野、または遅い記録時間によって制限されていた。これらの問題は、一部はReversible Saturable Optical Fluorescent Transition(RESOLFT)などの技術を使用することで克服されている。

 しかし、現在の蛍光ナノスコピー技術は、高い照明量が必要であり、特に3次元サンプルでの画像コントラストの低下を引き起こしていた。また、焦点面内の隣接する放出スポット間でのクロストークが画像の質を損なうことがあった。さらに、画像処理を通じて超解像情報を抽出する必要があり、特に低信号対雑音比(SNR)の構造ではアーティファクトに悩まされることがあった。

 そこで、本研究ではMolecular Nanoscale Live Imaging with Sectioning Ability(MoNaLISA)と呼ばれるナノスコープを開発した。このナノスコープは、最適化された形状と周期性を持つ光パターンを使用してrsFPsの蛍光をON、OFFに切り替え、読み取ることができる。具体的には、最小の光量で効率的に分子をOFF状態に切り替えるために小さな周期性を選択し、光子収集を最大化し、検出のクロストークを最小限に抑えるためにより大きな周期性でONスイッチングおよび読み取りパターンを基にした。この設定により、細胞全体で45~65 nmの空間的側方分解能を実現している。

使用されたCoboltレーザー:405nm, 150mWレーザー

             488nm, 200mWレーザー