JIŘÍ JUNEK, KAREL ŽÍDEK, “Nanosecond compressive fluorescence lifetime microscopy imaging via the RATS method with a direct reconstruction of lifetime maps”, Optics Express, 2023, DOI: https://doi.org/10.1364/OE.474453.
蛍光寿命イメージング(FLIM)は、フォトルミネッセンス(PL)ダイナミクスを扱う分光法の重要な部分であり、生物学、化学物理学、材料工学などで広く使用されている。代表的な方法には、単一光子計数法(TCSPC)、ストリークカメラ、ゲートフォトンカウンティング、アナログ時間領域または周波数領域技術がある。これらの方法は、それぞれの応用に最適であり、優れた時間分解能と高精度な測定を実現している。また、最近では、リアルタイムのFLIM取得を目指した革新的な改良が行われ、生物学的および医学的サンプルの調査に焦点が当てられている。
しかし、従来のFLIM方法には制限があり、特定のアプリケーションには最適である一方、他のアプリケーションには全く適さないことがある。例えば、TCSPCはナノ秒またはサブナノ秒の減衰を測定する際に優れた結果をもたらすが、数百ナノ秒の減衰を測定するには数時間の測定時間を要する。また、リアルタイムのFLIM取得にはパルスレーザーや高価なデバイスが必要であり、コストが大幅に増加するという問題がある。さらに、FLIM研究では、圧縮センシング(CS)技術が導入されているが、これもリアルタイムのin vivoイメージングには適していないことが多い。
そこで、本研究では、RATS(ランダム一時信号)法を用いた新しいFLIMの実装を提案する。まず、デジタルレーザー変調を使用して、ナノ秒単位の時間分解能を実現した。次に、単一ピクセルカメラ実験に基づく代替評価アプローチを提案し、これにより、各時間点でのPLマップの反復再構成が不要となる。このアプローチは、ポストプロセッシング時間を大幅に節約し、ノイズが存在するシステムでもFLIMスペクトログラムの精度が向上する。シミュレーションと実験の両方で、この新しい手法の有効性を確認した。具体的には、LuAG結晶表面のマッピングを行い、新しい2D-RATS法が従来の方法に対して顕著な性能向上を示した。
Cobolt社のレーザーの仕様
波長405 nmレーザー、デジタル変調周波数150 MHz、長方形信号が使用された。