海中環境における速度および粒子サイズ分布の同時測定のための二重波長レーザー・ドップラー流速計

Dual wavelength laser Doppler anemometer for simultaneous velocity and particulate size distribution measurements in submarine environments

Hongwei Zhang, Yan He, Ziwang Li, Xiangcheng Chen, Guangyao Dai, Bin Yin, Junwu Tang, Weibiao Chen, Songhua Wu

 レーザー・ドップラー流速計(LDA)は、流体力学の研究において非常に正確で非侵襲的な測定装置として広く利用されている。特に、流体の速度計測に優れ、航空力学や水力学の研究で多くの成果を挙げている。また、光ファイバー技術の進展により、複雑な光源や制御システムから分離された小型化された光学プローブが開発され、流場の摂動を最小限に抑えた測定が可能となっている。従来技術の光学測定装置は、高空間分解能で流速や粒子サイズの測定が可能であり、特に海洋環境での微細流の観測に有効である。

 近年の研究では、海洋環境におけるプランクトンの成長速度や炭素循環の解明に向けて、多くの観測技術が開発されている。例えば、BGC-Argoフロートは、海洋の生物地球化学的変数を測定するために広く展開されており、プランクトンの成長率や炭素蓄積率の分析に利用されている。また、従来の手法に比べて、高い空間および時間分解能での粒子サイズ分布の測定が可能であるため、海洋環境での微細な粒子の動態を詳細に把握することができる。

 しかし、従来のレーザー・ドップラー流速技術は、単一波長のレーザー光を使用するため、速度成分の同時測定が困難であり、また、粒子のサイズ分布を正確に把握するためには複雑な光学配置が必要である。また、伝統的な粒子サイズ測定技術は、視野が狭いため、同時に分析できる粒子の数が限られており、複数の粒子が存在する場合の測定精度が低下するという問題点がある。

 そこで、本研究では、二重波長(491 nmおよび532 nm)のレーザーを用いた光ファイバーLDCPシステムを開発し、海中環境での微細流速および微小粒子のサイズ分布を同時に測定する方法を提案する。具体的には、LDCPシステムは、二つの異なる波長のレーザー光を利用して、流速の二つの成分を同時に測定することができる。また、粒子のサイズ分布を高い空間および時間分解能で取得することが可能であり、海洋環境でのプランクトンの動態や炭素循環のプロセスを詳細に解明するための有力なツールとして機能する。

実験結果として、LDCPシステムは、黄海でのフィールドキャンペーンにおいて、海中の微細流速を正確に捉えることが実証された。また、実験室でのデモンストレーション実験により、小規模な浮遊粒子(直径2〜7.5µm)のサイズ分布を正確に計測するアルゴリズムが開発され、その有効性が確認された。

 使用されたCobolt社のレーザー

491nmおよび532nmレーザー (出力はそれぞれ50mW)