レーザー制御によるシリカコート金ナノ粒子アレイ表面でのマイクロバブルの操作

Laser Controlled Manipulation of Microbubbles on a Surface with Silica-Coated Gold Nanoparticle Array

Li, X., Wang, F., Xia, C., The, H. L., Bomer, J. G., & Wang, Y. (2023). Laser Controlled Manipulation of Microbubbles on a Surface with Silica‐Coated Gold Nanoparticle Array. Small, 19(49), 2302939. DOI: 10.1002/smll.202302939


 マイクロバブルはその広範な応用範囲から大きな注目を集めており、例えばマイクロ流体デバイス内の流れの制御やミクロボットの動力源、さらにはそれ自体がロボットとして機能することもある。近年では、振動する音響バブルが細胞膜の透過性を向上させ、薬物送達を促進することが知られており、臨床診断や治療に革新的な変化をもたらす可能性がある。また、プラズモニックバブルは、光共鳴レーザーを浸漬された貴金属ナノ粒子に集束することで生成され、光学的に接触なしに制御できるため、マイクロ/ナノスケールでの物体の選別、輸送、混合などに有用である。これにより、流体操作や微小物体の操作が可能となり、特定の液体や濃度勾配を必要とせずにバブルを操作できる利点がある。


 しかし、従来のマイクロバブル操作技術にはいくつかの問題点がある。従来の方法では、カスタマイズされた基板や特定の液体の特性に依存するため、実用化が制約されることが多い。さらに、従来のプラズモニックバブル操作研究の多くは、バブルの横方向の動きに焦点を当てており、垂直方向の操作に関する研究は限られている。これにより、より複雑なバブル操作が必要な応用には不向きであった。また、電気的および磁気的アプローチは媒質の特性に強く依存するため、他のシステムとの統合が難しい場合がある。


 そこで、本研究では、シリカコート金ナノ粒子アレイを用いて、水中でレーザー照射によりプラズモニックバブルを生成し、その垂直方向の操作を可能にする方法を提案した。具体的には、連続波レーザーをシリカコート金ナノ粒子アレイに照射し、プラズモニックバブルを生成。レーザー照射を停止すると、生成されたバブルが即座に基板から離脱し、再度照射するとバブルが引き戻される。この方法により、バブルのサイズと周波数を調整可能な連続的なバブルの跳ね返りを実現した。また、熱的マランゴニ流を利用して、上昇したバブルを引き戻すことができることを示した。これにより、マイクロ流体デバイスにおける流体混合や薬物送達、ソフトアクチュエータの開発など、多様な応用に向けた柔軟なバブル操作が可能となった。


使用されたCobolt社のレーザー発振器

波長532nm 300mW Samba