Mineral pressure gauge based on lattice stability and plasmonic enhancement of cobalt titanate under high pressure
Qi, W., Li, P., Gao, M., Hushur, A., Zhang, H. (2023). Mineral pressure gauge based on lattice stability and plasmonic enhancement of cobalt titanate under high pressure. Physical Review B, 107(085429). doi:10.1103/PhysRevB.107.085429.
高圧環境下での構造安定性を持つ多機能材料は、近年急速に研究が進められている。中でもコバルトチタナイト(CoTiO3, CTO)は、その多鉄性および化学的安定性から注目されている。これらの特性は、FeTiO3やペロブスカイトと同様であることから、機能材料としての利用が期待されている。特に、圧力と温度によって引き起こされる表面増強ラマン分光法(TISERSおよびPISERS)は、構造安定性の調査において重要な役割を果たしている。CTOは、高圧環境下でも相転移やアモルファス化が起こらず、優れた格子安定性を示すことが確認されている。これにより、CTOは高圧測定のための圧力計としての利用が見込まれている。さらに、プラズモン共鳴場の増強効果により、ラマン信号の変動を解明する試みが行われている。この研究は、他のイルメナイトベースの機能材料の高圧ラマン挙動を理解するための洞察を提供している。
しかし、CTOの構造安定性と格子変形に関する情報は不明確である。このため、高圧環境下でのCTOの利用には制約がある。また、現在広く使用されているルビー圧力計は、R1蛍光線の圧力依存性に基づいており、測定範囲が狭く、特別な高価な分光器を追加で必要とするという問題がある。これにより、高圧科学の発展が妨げられる可能性がある。
そこで、本研究では、CTOの圧縮による振動特性を定量的に調査することで、ユニークな圧力計を提案する。特に、高圧ラマン分光法を用いてCTOの格子安定性を調査し、プラズモン共鳴場の増強効果によるラマン信号の変動を明らかにすることを試みた。これにより、CTOが40 GPaまでの高圧下で相安定を保つことを実験的に証明し、他のイルメナイトベースの機能材料の高圧ラマン挙動を理解するための直接的な実験証拠を提供した。さらに、プラズモン共鳴場の増強効果により、低周波数帯域での高圧測定に適した圧力計としてCTOを利用できることを示した。
Cobolt社のレーザー発振器の仕様
08シリーズ200mW, 532nmレーザー
