Silva-Acosta, J.L.; Saucedo-Anaya, T.; Mendoza-Santoyo, F.; Hernández-Montes, M.D.S.; Guerrero-Mendez, C.; Gaytán-Saldaña, D.; Saucedo-Orozco, B. “Effect of Near Ultraviolet Radiation on Varroa Destructor Using Digital Holographic Interferometry.” Appl. Sci. 2024, 14, 4938. https://doi.org/10.3390/app14114938
背景
現在、ミツバチの減少は世界的な問題となっており、その主要な原因の一つはVarroa destructor(バロア・デストラクター)という寄生ダニである。これらのダニはミツバチの成虫や幼虫の体液を吸い、さらに様々な病原体を媒介する。このため、効果的なダニの管理方法を見つけることは、ミツバチの健康とその生態系全体の安定にとって極めて重要である。ミツバチは多くの作物の受粉を行っており、彼らの減少は食糧生産にも大きな影響を及ぼすため、持続可能なダニ管理方法の開発は急務である。
従来の研究とその問題点
これまで、バロアダニの制御には主に化学的アカリサイドが使用されてきた。例えば、フルバリネート(Apistan®)やフルメスリン(Bayvarol®)といったピレスロイド系のアカリサイドがその代表であり、特にプラスチック製のストリップ状の製剤で高い効果を発揮してきた。また、他の制御方法として、空中超音波や紫外線の使用も研究されてきた。
しかし、化学的アカリサイドは過小投与や自家製の調製によりダニが抵抗性を持つ問題がある。また、これらのアカリサイドは巣内の製品(例えばハチミツや蜜蝋)を汚染し、消費者の健康に影響を与える可能性もある。
解決方法と実験結果
そこで、本研究では紫外線近接(UVA)照射を行うことによって、バロアダニの表面損傷を定量的に評価する手法を用いて、この問題を解決した。Cobolt社製のレーザー発振器を用いて、バロアダニの試料を1時間連続的に照射し、デジタルホログラムを記録した。ホログラムの位相マップを解析することで、表面の変形(数十マイクロメートルの膨潤)が観察され、特に肛門盾板と性器盾板周辺で顕著であった。これにより、UVA照射がバロアダニの健康と生存性に直接影響を与える可能性が示された。

使用されたCobolt社製レーザー
355nm, 20mW Zouk
