p-スルホナトカリックス[6]アレーンで機能化された金ナノ粒子:薬物送達とバイオイメージングへの応用

Suprotim Koley, Paacha Kandy Risla Sherin, Minati Nayak, Nilotpal Barooah, Achikanath C. Bhasikuttan, Jyotirmayee Mohanty. p-Sulfonatocalix[6]arene-Functionalized Gold Nanoparticles: Applications in Drug Delivery and Bioimaging. ACS Phys. Chem Au, 2024, DOI: 10.1021/acsphyschemau.4c00027

背景

 金ナノ粒子(AuNPs)は、その優れた生体適合性、標的薬物送達能力、及び副作用の軽減の可能性から、重篤な疾患、特に癌の治療において非常に効果的なナノキャリアとして注目されている。AuNPsの局所表面プラズモン共鳴(LSPR)バンドを利用したUV-vis吸収スペクトルは、センシング用途にも利用可能である。さらに、合成の容易さと表面修飾の機会が、AuNPsの幅広い応用範囲をさらに魅力的にしている。マクロサイクルホスト(ククルビトゥリル、シクロデキストリン、カリックスアレーン、ピラーアレーン)でキャッピングされたナノ粒子は、従来のキャッピング剤よりも水溶性、生体適合性、及び薬物や診断剤の非共有結合的相互作用を通じた負荷の面で多くの利点を示している。p-スルホナトカリックス[6]アレーン(SCx6)は、その水溶性と生体適合性を高めるためのキャッピング剤として機能し、ナノ粒子の安定性と適用可能性を向上させる。

従来の問題点

 しかし、様々な方法(ボールミル、ゾルゲル、化学還元法など)や安定化剤を使用しても、金ナノ粒子(AuNPs)の水溶性を高め、標的薬物放出を実現し、全体的な安定性を向上させる必要がある。特に、ドキソルビシン(Dox)は、標的細胞だけでなく正常細胞にも影響を及ぼすため、薬物送達システムの改良が求められている。

解決方法と実験結果

 そこで、本研究ではSCx6とAuNPs(SCx6AuNPs)を基盤とする刺激応答性ナノコンジュゲートシステムを開発し、Doxの薬効を高めると共にその細胞毒性を軽減することを目指した。SCx6AuNPsは、Doxの効率的な取り込みと刺激応答性放出を実現し、特に正常細胞に対してDoxの細胞毒性を低減した。また、SCx6AuNPsを介したDoxの多刺激応答性放出が、がん細胞(A549)と正常細胞(W126)の両方で確認され、選択的標的薬物送達アプリケーションに有望であることが示された。細胞レベルでは、SCx6AuNPsの効率的な取り込みが確認され、チオフラビンT(ThT)を蛍光追跡プローブとして使用することで、バイオイメージングにおける有用性が実証された。

使用されたCoboltのレーザー

532nm, 500mWレーザー Sambaが強ラマン分光法(SERS)測定に使用され、室温でのスペクトル記録に利用された。