Marco Schnieder, Anna Niemann, Jana Hüve, Jürgen Klingauf, “Collimating three-axicon zoom system for interferometric Bessel beam side lobe cancellation.” Optical and Quantum Electronics, 2024, 56:716. https://doi.org/10.1007/s11082-023-06229-y
背景
ベッセルビーム(Bessel Beam)は、光トラッピング、材料加工、蛍光顕微鏡など多くの応用分野で利用される非回折ビームである。従来のBB生成方法としては、アニュラースリットやアキシコン、空間光変調器(SLM)がある。アキシコンはコストが低く透過率が高いという利点があり、SLMは多段階位相プロファイルと動的制御が可能である。例えば、SLMを用いることで、マルチレベルの位相プロファイルを得ることができ、動的なビーム制御が可能となる。しかし、SLMは低いダメージ閾値と低い反射率という欠点があるため、従来のアキシコンは依然として良い選択肢である。特に、迅速なパラメータ変更や軸方向の強度分布の工学的改変が不要な場合、アキシコンはより適した選択肢となる。また、アキシコンを用いたBB生成法の改善例としては、調整可能なBBを生成する流体アキシコンや、特定のBBパターン用に設計された可変メタアキシコンなどがある。
また、従来の光学システムでは、ベッセルビームのサイドローブが実験過程で干渉することがあり、これを解決するために多くの方法が開発されている。例えば、ベッセルビームの側波帯を抑制する検出方法や、ビームとサンプル間の相互作用を直接適応させる方法がある。これには、非線形励起やサイドローブによる励起の抑制、ビームシェーピングが含まれる。
従来の問題点
しかし、SLMは低いダメージ閾値と低い反射率という問題点がある。また、アキシコンを用いたベッセルビーム生成法は、パラメータ変更や軸方向の強度分布の工学的改変が難しいという課題がある。さらに、ベッセルビームのサイドローブが実験過程で干渉し、ノイズレベルを増加させることがある。
解決方法と結果
そこで、本研究では、3つのアキシコンと2つのレンズを用いた新しい光学システム(SWANシステム)を提案した。このシステムは、コリメートされたアニュラーリング強度パターンを生成し、リングの直径を調整可能とする。
さらに、マイケルソン干渉計を用いてベッセルビームのサイドローブを一方向にキャンセルする方法を紹介した。このシステムにより、ベッセルビームのパラメータを柔軟に調整でき、サイドローブを効率的に抑制することが可能となる。具体的には、二つのベッセルビームをコヒーレントに重ね合わせることで、一方の方向でサイドローブが強調され、他方の方向でキャンセルされることを理論的に示し、実験的に検証した。SWANシステムは、SLMやカスタム光学素子を使用する方法に比べて低コストであり、コリメートされた出力ビームを生成するため、干渉に有利である。


Cobolt社製レーザー発振器の仕様

