三次元アゾポリマーマイクロ構造のホログラフィー構造光を用いた成形

Molding three-dimensional azopolymer microstructures with holographically structured light
I Komang Januariyasa, Francesco Reda, Fabio Borbone, Marcella Salvatore, Stefano L. Oscurato

背景

 三次元マイクロ構造の作成は、フォトニクス、エネルギーハーベスティング、ウェッタビリティの調整、マイクロフルイディクス、ウェアラブルデバイス用センサーなど、さまざまな応用分野で非常に重要である。特に、アゾベンゼンを含むポリマー(アゾポリマー)は、光応答性を持ち、紫外線可視光による異性化を通じてマクロな変形を引き起こす。この異性化とは、分子内の構造が光によって変化する過程であり、アゾポリマーではトランス型とシス型の間で可逆的に変化する。この光による材料輸送は破壊的な熱的影響を伴わず、従来のリソグラフィー技術に比べて可逆的な変形が可能であるため、柔軟で費用対効果が高い三次元マイクロ構造の形成に利用できる。このプロセスは、光の強度と偏光の空間分布に依存しており、微細構造の多様性と複雑さを達成することが可能である。また、ホログラフィー技術は、精密で複雑なパターンの生成を可能にし、アゾポリマー表面に高精度で複雑な三次元構造を作り出すことができる。

従来の問題点

 しかし、従来のアゾポリマーを用いた光パターン技術には、幾何学的な多様性と局所的な構造化能力に限界がある。異なる形状や配置を実現するためには、追加の照射ステップや光学設定の変更が必要であり、一度の照射で広い領域に均一な形状しか作成できないという制約がある。また、標準的なリソグラフィ技術は、高スループットな製造には適しているが、高い複雑性と多様性を同時に達成することは困難である。

解決方法と結果

 そこで、本研究では、コンピュータ生成ホログラフィー(CGH)を使用して、アゾポリマーの円柱マイクロピラーの表面に任意の二次元光パターンを投影し、その形状を三次元的に変形させる技術を提案した。これにより、同じ初期構造から、凹型、凸型、対称型、非対称型など、様々な形態のマイクロ構造を一度の照射で作成することが可能となった。また、複数のマイクロピラーを個別に制御して再成形することで、集団的に異なる形状のマイクロ構造を同時に作成する能力を実証した。この技術は、光のみを使用して、オンデマンドで表面を再成形し、機能を持たせるマスクレスでコスト効率の高い方法として、新たな道を開くものである。

使用されたCoboltのレーザー

491nmレーザー Calypso

研究で使用したCGHシステムには、491nmのCobolt製レーザーを使用している。これは、ホログラフィー技術において長いコヒーレンス長が干渉パターンの安定性を向上させ、より精密な微細構造制御を可能にするためである。